萼には刹那の接吻を
昼間のとがった送り仮名には微笑み二乗の反語法を
埋もれかけた墓標には遠い遠い潮騒を
こんな夜もまた
星は星をちぎりながら
生まれ来る無をこぼし
ながら
打ち寄せ溢れる調
忘我の二重否定の果て
紫黒の雪崩は花開き
月陰に舞い立つ盲いた渇き
は頑なに刳り抜かれた人形へと流れ落ち
解解解、 解
甘く折り重なる、稠密の階
ら、 ら
膿みも錆びも砕けもせぬ
有性の、相同の、複製の 軌跡
情事から氷河までを刺し貫いて
朦朧の、覚醒の 水鏡の滸
暗がりの振り子
遠近法の虹の油膜はめぐり合い
秒針の穿つ琥珀のイコンに跪き
おやすみ
眠れ
ぶちのヒト