数年ぶりに栃木県の足尾にお邪魔しました。

未明に現地入り。

銅親水公園に駐車して夜明けを待ちます。
足尾と言えば、かつて栄えた足尾銅山の産業遺構が有名ですが、
実は今回の目当ては足尾から日光の中宮祠へと通じる古道、いわゆる「中禅寺路」をたどることです。
以前からずっと気になってはいたのですが、ようやくタイミングが合ったという感じです。
ツキノワグマさんとの遭遇が非常に懸念されましたが、好奇心のほうが勝りました。

午前5時前。日の出の時刻ですが、どんより曇っていて薄暗いです。雲の流れが速く、時おり月が垣間見えます。
かつてこの一帯は足尾銅山の精錬所の煙害で一面のはげ山だったそうです。今では再緑化が進んできていますが、松木川沿いは「日本のグランドキャニオン」とも呼ばれる荒涼とした渓谷です。

現地の案内板。
今回目指す阿世潟(あぜがた)峠は、中禅寺湖手前の社山と半月山の中間に位置します。直線距離で5キロくらいでしょうか。基本的に久蔵川に沿って北上するルートです。地図上の明るい色のエリアは治山工事の重点地域のようです。

いざ出発。禁断のゲートをくぐります。もちろん徒歩です。
ここの標高は約750m。阿世潟峠は1410mですから、標高差は700m近くあります。

ゲートの先を直進。
しばらくは舗装された林道を進めます。電柱やカーブミラーもあり、まだ人里感があります。
明治期まではこの辺りにもいくつか集落が存在し、足尾銅山の操業中には人の往来も相当あったようです。

かなり登ってきました。沢ははるかに下方の谷底です。

滝の水が林道にまで流れ落ちて来ます。

このような洗い越しが何箇所もあります。

先に進むにつれ路面状況は悪化し、ついにはぬかるんだ草むらの中のわずかな踏み跡をたどって進むはめに(泣)
スマホの電波も完全に圏外です。

ルートは間違っていないようですが、、、
この付近に標高1000mの標識があったので、すでに250mほど登ってきたことになります。
それはそうと、さっきから猿さんの「キーッ」という鳴き声が遠巻きに後を付いてきます。なんだか監視されているようで不安に拍車をかけます。

やがて沢沿いの河原に突き当たりました。林道の終点のようです。少し先に小さな橋が架かっていて、そこを渡った後は本格的な登山になりそうです。
休憩がてらしばし逡巡しましたが、装備があまりにも貧弱なのでここで早々と撤退を決断。
まだ全行程の三分の一くらいなんですが...。
一応、長袖長ズボンに長靴姿でしたが、コンビニのレジ袋片手に、街歩きの時と大して変わらない格好でしたからね。(←山舐めすぎだろ)

で、無事スタート地点の銅親水公園に戻ってきました。この時点で朝の7時。あっけない幕切れです。
道中は誰にも熊にも会いませんでしたが、駐車場にはハイカーらしき数人が入念に身支度をされていました。

駐車場で休んでいると、ほどなくして雨が降ってきました。小雨ながら日中も降り続いたので、初心者は撤退して正解でした。
桑野正光著『栃木の峠』によると、
足尾は古くからの日光神領で、日光の社寺とも関わりが深く、今回歩いた中禅寺路も、奈良時代に日光山を開いた勝道上人の頃まで遡るほどの古道ということです。しかし、大正時代に集中豪雨による大規模な崩落があり、それ以来メインルートは半月山寄りに開削された新ルート(深沢古道)へ。さらに細尾峠の下に国道122号の日足トンネルが開通するに至り、かつての古道はどれもお役御免とばかりに廃道化の一途をたどっているようです。

銅親水公園より南方を望む。精錬所跡の煙突が見えます。
今回の「山行」、早期挫折で少し物足りなさもありましたが、自分なりの初挑戦ができたのでとりあえず良しとします。
次の「リベンジ編」があるのかどうかはわかりません(笑)
いずれにせよ、夏場はやめておいたほうが良いでしょう。
阿世潟峠や半月山から眺める中禅寺湖と男体山は、栃木県を代表する絶景で、カレンダー等の風景写真に使用されたりしています。
まあ、展望スポットまでは車でもサクッと行けはするのですが、忘れられた古の道を歴史を感じながらたどることにも心惹かれるのです。
2025年8月12日訪問。
ご覧いただき、ありがとうございます。