SagamiToshio’s blog

夕景/夜景ハンター。夜行性です。

5文型の憂鬱

長いこと中高生に英語を教えてきたけれど、個人的には「5文型」ってのが鬼門で、ここだけの話、既存のテキスト類を使って自分で納得のいく授業ができた試しがない。

今週、中3に5文型を一回で教えるので、一からオーバーホールするつもりでかなり気合いを入れてプリントを作った。

この単元、教える側からすれば親切のつもりでも、生徒たちからすると馴染みのない文法用語の羅列で、中途半端にやると余計に混乱させることになりがち。

なぜこんなことを学ぶのか、知っているとどんな良いことがあるのか、相当念入りに語らないと、英語嫌いをまた増やすだけだ。

今まではその前提部分は板書と口頭の説明でやってきたが、かなり時間も取るし、やはり生徒が後々見返せるハンドブック的なものがあった方が良いだろうと思って、意を決して、かなり丁寧な要点マニュアルを作って授業に臨んだ。

出講先に迷惑かけるかもしれないので全部公開はできませんが、冒頭のイントロ部分がこちら。

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この導入部はほぼ書き下ろし。「英語は型にはまりたがる」ってのは佐藤良明先生の、「英語は配置の言葉」は大西泰斗先生のパクりだけどね。

こいつを使って授業やってみて、やはり反省点はいくつも出てきたが、少なくとも準備にかけた熱量は生徒に伝わったかな。その点での手応えはあった。

ただ、入会して日の浅い生徒で、こういうガチガチの英文法論議に慣れていない向きにはやはり取っ付きにくく感じたようだ。

授業後に質問に来た生徒に聞くと、第2、第4、第5文型の英文自体は中学校でも断片的には習ったようだが、5文型を体系的に扱うことは(相変わらず)していないようだ。

新課程になったとはいえ、英語の授業時間数は大して増えていないのだからまあそれが普通だろう。ましてやコロナ禍の影響で生徒の学びも停滞しがちだったし。

高校単元のいくつかが中学に前倒しになり、小学英語も準備体操よろしくほとんど深入りしない現状では、中学生の負担が最も増えているのは間違いない。

今後生徒の英語力の二極化にも拍車がかかるだろうし、都立高最上位校の英語の入試問題もそのことを見越したかのように難化してきており、共通問題とは雲泥の差だ。

伝統的な訳読方式の教授法だけで、上位校のあの分量に対処させるのは限界がある。より根本的な教える側のパラダイムシフトが求められているが、これはまた進化・変革への大チャンスでもあるだろう。入試が変われば、特に塾予備校は追随せざるを得ない。都立高校入試のスピーキングテストもようやく始まるし、それに合わせてよりスピーキング重視の指導へとシフトしていければ、生徒たちの英語学習もより実りあるものになるはずだ。

「5文型」など文法知識も語学には必要だが、でも「補語」、「他動詞」みたいな文法用語自体に馴染めず嫌気が差す生徒も少なからずおり、それはそれで困りものだ。用語は用いず○△□のような記号で誤魔化すことも考えたのだが、テキストや参考書が自力で読み解けなくなるのもマズいと思いやめた。

授業後に相談に来た生徒には、「とりあえず英文自体の意味が取れていれば問題ない。あとはキーセンテンスを、音源を真似て音読練習をしっかり」と励ました。