千葉県香取郡神崎町。
どこか気になりつつも、いつも川沿いのバイパスを通過するばかりだった町。
今回所用で近くまで来たので、ふと気まぐれに夕暮れ時の街をぶらぶらしてみることにした。
市街地は一見駐車スペースが無さそうだったので、街外れの天の川公園に車を停める。
ここは田んぼの中の小川に沿って整備された細長い公園で、町のウェブサイトでは町一番の憩いの場的な扱いなのだが、いかんせん小ぶりな公園だし、街外れだし、平日の夕暮れ時ということもあってか人っ子一人いない。日も陰り風も出てきたので思わずダウンジャケットを羽織る。風に乗って成田線の電車の音、そして時おりかすかな爆音が上空に響く。そう言えば成田空港にも程近いんだっけ。
まずは街のシンボル神崎神社へ向かう。
社は周囲から迫り上がった小山の上に鎮座し遠目にも間違えようがない。往時は利根川を行き来する舟の目印にもなっていたというのも納得だ。
神社下まで着くと、参道入口に駐車場とトイレがあった。そこから急坂を100メートルほど上り社殿。小山の上なので境内は広くはない。もう夕方5時をまわっていたので社務所も閉まり、ひっそりしている。そして水戸黄門が感嘆したという大クス「なんじゃもんじゃの木」、思ったより存在感がない...。
それもそのはずで、案内板によると昭和初期の火災で幹の上部が焼け落ちてしまったのだそうで、その後ひこばえが生育して樹高20メートル程にまで達したとのこと。焼け残った元の幹はかなりの太さで、ありし日を偲ばせる。
市街地はこの神社を囲むように利根川近くに密集し、さらに街道沿いにJR下総神崎駅付近にまで伸びている。とは言え、かつて水運で栄えたのも今は昔、人口も6千人足らずと千葉県最小の自治体でもあり街の中は時が止まったかのように静かだ。国道を車がただ通り過ぎて行く。
町は「発酵の里」として伝統の醸造業をPRしている。行ったことないけど圏央道神崎インター近くの道の駅に町の粋を結集しているようだ。もちろん街なかにも江戸期、明治期から続く蔵元がいくつも営業中だ。
堤防に上がり、利根川に架かる赤い神崎大橋を渡ってみる。車の交通量は多いが、側道の歩道橋は誰も歩いていない。下流域なので川幅、水量ともかなりのもの。空模様に恵まれれば良い夕焼けハントができそうな雄大な景色だ。川向こうは茨城県稲敷市、農村風景が広がっている。
天の川公園に戻る頃にはもう辺りは大分暗くなっていた。
また空から爆音が聞こえてくる。
見上げるとジェット機の機影が流星のように西の夕空を飛び去って行った。
↑神崎神社と「なんじゃもんじゃの木」
曇ってきてしまったので写真撮る気が起きず、今回はこれだけ。
コンビニとAmazonさえあればいい自分としては中々住みやすい閑静な街かも、と感じられました。スコーンと抜けた田園風景も好み。
GWにでもまた気が向いたら行ってみる。