SagamiToshio’s blog

夕景/夜景ハンター。夜行性です。

北条海岸、稲村城址、滝田城址(千葉県館山市、南房総市)

2022年3月6,7日、房州へ。

7日10時にホテルをチェックアウト、まずは館山駅周辺をぶらぶら。

このへんをちゃんと歩くのは今回が初めて。

南欧イメージの駅舎西口から伸びる夕日通りを西進するとすぐに北条海岸。

富士山が霞んで見えた。

f:id:SagamiToshio:20220318220613j:plain

月曜の午前中だし、ビーチに人は自分だけ。防波堤には釣り師がちらほら。

 

駅に戻ると中学生らしき人影がやや目立つ。

後で知ったが、この日は県立高校の合格発表だったそうで、電車で高校まで掲示を見に来たのかな?

 

少し早目の昼食を摂ったあと、この日のお目当て稲村城址へと移動。

やや内陸にある、戦国大名里見氏の初期の本拠地だ。

館山市立博物館刊『さとみ物語』によると、ここは安房国国衙にも近く、古くから交通と水利の要衝。里見氏が安房全域を掌握するには絶好のロケーションだったようだ。今でも城山のすぐ北をJR内房線と国道128号が東西を貫いている。

 稲交差点の少し北に見学者用の広い駐車場がありそこに車を停める。他に駐車車両はいなかった。

てくてくと踏切を渡り、すぐに右折。少し行くと案内の看板が出ていた。

f:id:SagamiToshio:20220319011825j:plain

 

しかし城域への入り口が分かりにくく散々迷う。

(ちなみに上の写真では隠れてしまっていますが、案内板越しに見える民家と民家の間の狭い道から進入します。)

城址内は静寂そのもの。竹林から時折「カンッ」と乾いた音が聞こえるだけ。

午後から曇る予報だったのだが、十分に日差しがあり風もなくかなり暖かい。

道なりに中郭部、正木様(小さな祠)、横穴群(穴自体は確認できず)と進み、開けた主郭部へと到着。

 

f:id:SagamiToshio:20220318225355j:plain

見晴らしよく、鏡ヶ浦(館山湾)まで見える。写真では分かりにくいが富士山も辛うじてまだ見えた。

 しばし独り時間を味わったが、そのうち地元の方らしき男性二人組がやってきて日向ぼっこし始める。平和。

 

主郭部を出ると北に斜面を下りる道が通じている。道なりに進みそこから小さな踏切を渡ると国道に出てしまった。

 城址からは房総半島南端の白浜まで古道も通じているらしく、少し歩いて見たかったのだが、また戻るのも面倒なのでそのまま駐車場まで帰還。

 里見家の内乱「天文の内訌」の際に討たれた里見義豊の首を埋めたという伝説の地「水神の森」も気になるところだが、また今度にしよう。

f:id:SagamiToshio:20220318234938j:plain

稲村城址主郭部より西を望む

 

車まで戻ると午後3時過ぎ。まだ日も高い。

もう一ヶ所行けるぞと言うことで、次は稲村城の5、6キロほど北にある滝田城へ。

ここは安房国を南北に結ぶ平久里街道沿いにある山城。(住所表示だと南房総市下滝田か)

県道88号から案内に従って細い細い道を上って行くとこぢんまりした駐車場。トイレもあり、由緒書きや地図付き案内板もありよく整備されている印象だ。

 

里見家の内乱「天文の内訌」で決戦の舞台となった犬掛古戦場にもほど近く、また滝沢馬琴のファンタジーフィクション『南総里見八犬伝』の舞台の一つでもあるとか。

 

小用を足し、案内を眺めていると、50代くらいのご夫婦が息切らせながら山道を降りて来た。「往復で4、50分くらい」の行程とのこと。

でぼちぼち登城開始。結構急な山道だ。一ヶ所崩落箇所がありかなり慎重に通らないといけなかったが、そこ以外道はしっかりしていた。

 

それにしてもこんな険しい山城で日常生活を送るのは、ものすごく不便だったのではないか? こんなところに住まねばならないほど戦国の世の権力者とは危険な渡世だったのだろうか?

 

なんてことを思いながら登っているとやがて開けた場所に出た。

 

南総里見八犬伝』を顕彰する伏姫と八房の像

f:id:SagamiToshio:20220319001612j:plain

f:id:SagamiToshio:20220319001714j:plain

f:id:SagamiToshio:20220319001806j:plain

滝田城址より南方を臨む

噂どおり展望台は撤去済み。土台の石垣だけが残されていた。南側は開けていたものの、北側は樹木に遮られ眺めは望めず・・・。

さらに数百メートル進むと櫓台や主郭もあるらしいのだが、脚も痛くなって来ていたし引き返すことに。

 

車まで戻り、車内で休んでいたら、いつの間にか眠り込んでしまっていた。

目を覚ますと辺りは真っ暗闇の中。かなり不気味ではあるがこの静けさも悪くはない。

おぼろに霞んだ三日月が西に傾き始めている。

早春の房総丘陵をたらふく堪能できた1日だった。