SagamiToshio’s blog

夕景/夜景ハンター。夜行性です。

過ぎゆく春に(2023年3月~5月)

(画像16点) あれは雨だれ。きみは気まぐれ。 どこにもいない。どこにでもいる。 光と闇、糾弾と依存を行き来して。 宴の後が好き。ゼロの織りなすパターンが。 鉄橋の向こうに列車の響きが消えるまで。 上り方面はいつも、永遠の黄色信号。 凛々と鯨たちを…

らら、ばい

萼には刹那の接吻を 昼間のとがった送り仮名には微笑み二乗の反語法を 埋もれかけた墓標には遠い遠い潮騒を こんな夜もまた 星は星をちぎりながら 生まれ来る無をこぼし ながら 打ち寄せ溢れる調 忘我の二重否定の果て 紫黒の雪崩は花開き 月陰に舞い立つ盲…

夏雲 3

寝付かれず夏の光を反芻す 日焼けの跡も消えかける頃

日付変更線

光で濁った眼を閉じて 今さら気づく初秋の夜風に 誰かの刺したアルミの針は 鈍く光って落ちました シカゴの虫籠 最後のサイゴン それが今日の遺言

雨上がりの家路

紫煙は初秋の調べを探り弾けぬまま 枯野の羽衣のように街灯に纏わりついていた 鉄路の向こうから明日が叫び始め 夏はまだ終わらなかった

数字論2

いーち にー さぁーん 4丁目の公園のわきを通ると 子供たちが叫んでる 一斉に 数を数え 数と数えられ くたびれくすんだ任意の整数が 時速5キロの自転車で 夕方6時の帰宅です 7スターに火をつけて 8号棟へと続く石段の 9段目 今日も腰掛け 胸に押し込んでいた…

その頃わたしはまだ

虹の行方を尋ねましたね 庭に駆け出す小さな足で あれは、たしか夏の初め まだ見ぬ向こうに触れたくて 尻尾はそのたび凛と鳴り その頃わたしはまだ 羽ばたき空飛ぶネコでした 雲の大きさを尋ねましたね 夕日の染める柔らかな頬で あれは、たしか橋の上 「自…

「ミラボー橋」ギョーム・アポリネール  堀口大学訳(部分)

手と手をつなぎ 顔と顔を向け合おう こうしていると 二人の腕の橋の下を疲れたまなざしの無窮の時が流れる 日も暮れよ 鐘も鳴れ 月日は流れ 私は残る流れる水のように 恋もまた死んでゆく 恋もまた死んでゆく 命ばかりが長く希望ばかりが大きい 日も暮れよ …